契約が必要な理由

廃棄物の処理を他社に委託する場合、書面での契約が求められます。口頭やメールのやりとりだけでは足りません。

目的は、誰が何をどこまで責任を持つのかを明確にすることです。曖昧なままでは、問題が起きたときに責任の所在が分かりません。

そして、契約書がないまま委託していた場合、それ自体が問題になります。

運搬と処分は別の契約

見落とされやすい点です。

  • 運搬を委託する相手とは、運搬の契約
  • 処分を委託する相手とは、処分の契約

同じ会社が両方を行う場合でも、それぞれの内容を契約に含める必要があります

運搬業者と処分業者が別の会社なら、それぞれと契約を交わします。運搬業者を通じて処分業者に渡す形でも、排出事業者は処分業者とも直接契約する必要があります。

記載事項を点検する

契約書に含まれているべき内容を挙げます。実際に必要な項目は法令で定められているため、自社の契約書と照らして確認してください

  • 委託する廃棄物の種類と数量
  • 運搬の最終目的地
  • 処分の方法と場所
  • 委託先が許可を持っていることと、その内容
  • 契約の有効期間
  • 料金
  • 取扱いに注意すべき事項(危険性など)
  • 処理が困難になった場合の通知に関する事項
  • 契約終了時の未処理分の扱い
  • 再委託に関する取り決め

8番目と9番目が抜けている契約書が実際にあります。委託先が処理できなくなったとき、通知を受けられる仕組みがあるかを確認してください。

また、許可証の写しを添付することが求められます。添付されているか、内容が現行のものかを確認してください。

古い契約が残っている問題

この業界で最もよく見る問題です。次のような状態が起きています。

  • 10年以上前の契約書がそのまま使われている
  • 添付されている許可証の写しが失効している
  • 委託先の会社名や所在地が変わっている
  • 実際に委託している品目が契約に含まれていない
  • 料金が実際と違う
  • 契約書がどこにあるか分からない

いずれも行政の確認と、承継の調査で必ず指摘されます

点検の手順

半日で終わる作業です。次の順で進めてください。

  1. 委託先の一覧を作る:実際に今、どこに何を委託しているか。
  2. それぞれの契約書を探す:見つからないものがあれば、それが最優先の課題です。
  3. 契約日と有効期間を確認する
  4. 添付されている許可証の有効期限を確認する
  5. 委託している品目が契約に含まれているかを確認する
  6. 不備があるものから順に、締結し直す

1番目で意外なことが分かります。「そういえばあの会社にも出している」という先が出てくることがあります。契約書がないまま委託している可能性があります。

再委託の扱い

委託した先が、さらに別の会社に委託することです。原則として認められていません。

確認すべき点を挙げます。

  • 委託先が実際に自社で処理しているか
  • 別の会社へ回している形跡がないか
  • マニフェストの記載と実態が一致しているか

委託先が勝手に再委託していた場合でも、排出事業者として確認していなかった責任を問われる可能性があります

年に一度は委託先の処理施設を確認する、という運用を取っている会社もあります。実地で見ておくことが最も確実です。

更新の管理

契約書と許可証は、期限を管理する必要があります。

  • 委託先ごとに、契約の有効期間と許可の有効期限を一覧にする
  • 期限の3か月前に通知が出るようにする
  • 更新したら、新しい許可証の写しを受け取る
  • 担当を決め、複数人が把握できる場所に置く

3番目を忘れないでください。委託先が許可を更新しても、写しをもらわなければ確認できません。更新時期に合わせて依頼する運用にしてください。

承継前に見直すべき条項

承継を考えているなら、次の点を確認してください。

  • 契約の当事者名:会社名が変わる場合の扱い
  • 契約の承継に関する条項:株式譲渡なら通常そのまま続きますが、事業譲渡なら結び直しが必要
  • 解約の条件:委託先を変える場合の手続き
  • 最低数量の取り決め:処理量が減った場合の負担

4番目に注意してください。「年間○トン以上」という取り決めがあると、事業を縮小する際に負担が残ります。廃業や規模縮小を検討するなら、先に確認してください。

事業譲渡の場合、すべての委託先と結び直すことになります。件数が多ければ相当な時間がかかります。一覧を先に作っておくことが、後の遅れを防ぎます。

契約書の保管場所を1つにする

点検して分かることの一つが、契約書が散らばっているという状態です。

整えるべき形を示します。

  • 委託先ごとにファイルを作る
  • その中に、契約書、許可証の写し、確認の記録、やりとりの履歴を綴じる
  • ファイルの背表紙に委託先名と契約の有効期間を書く
  • 1つの棚にまとめ、担当者以外も分かる場所に置く
  • 一覧表を作り、ファイルの並び順と対応させる

4番目が重要です。行政の確認は予告なく来ることがあります。担当者が不在でも出せる状態にしておいてください。

この整理は半日で終わります。そして承継の調査でも、この形になっているかどうかで印象が変わります。

※ 契約に必要な記載事項は法令で定められており、改正されることがあります。契約書の作成・点検にあたっては専門家および所管窓口にご確認ください。