承継で見落とされがちな「銀行の理解」
事業承継の準備というと、株式や税金、後継者の育成に目が向きがちです。しかし、会社が借り入れをしている場合、金融機関の理解を得ることも欠かせません。経営者が代われば、銀行にとっては融資先の実質的な担い手が変わることを意味するからです。
銀行が新しい経営体制に不安を持てば、融資の継続や新規の借り入れに影響が出るおそれがあります。承継後も安定して資金を回すために、金融機関への説明は早めに準備しておきたいテーマです。
銀行が後継者に不安を抱く理由
金融機関が後継者に対して慎重になるのには、理由があります。主なものを整理します。
- 後継者に経営の実績や経験が乏しいのではないかという懸念
- 先代のような取引先や顧客との関係を維持できるかという不安
- 承継に伴って財務や経営が不安定になるのではという心配
- 後継者の経営方針や人柄が見えていないことへの警戒
これらはいずれも、後継者のことをよく知らないことから生じる不安です。裏を返せば、後継者の姿勢や能力、経営の見通しを丁寧に伝えることで、不安は和らげられます。
早めに関係を築いておく
銀行の理解を得るうえで効果的なのが、承継のずっと前から後継者を金融機関に引き合わせておくことです。いきなり「新しい社長です」と紹介するより、日頃から顔を合わせ、少しずつ信頼を積み重ねておく方が、はるかにスムーズに受け入れてもらえます。
後継者が決まっているなら、融資の打ち合わせや面談に同席させるなど、早い段階から金融機関との接点を持たせておくとよいでしょう。時間をかけて関係を築くことが、承継時の安心につながります。
説明で伝えたいこと
金融機関に後継者を納得してもらうには、何を伝えるかが重要です。銀行が知りたいのは、承継後も会社が安定して返済を続けられるかという点です。
準備しておきたい説明の柱
後継者がどんな経歴や適性を持ち、どんな経営方針で会社を担っていくのか。承継後の事業計画や資金繰りの見通しはどうか。取引先や従業員との関係をどう維持していくのか。こうした点を、根拠を持って説明できるよう準備しておくことが大切です。曖昧な決意表明ではなく、具体的な見通しを示すことが、銀行の信頼を得る鍵になります。
事業計画で将来を見せる
説明の中心になるのが、承継後の事業計画です。金融機関は、後継者のもとで会社がどう経営され、どう返済していくのかを具体的に知りたいと考えています。将来の見通しを整理して示すことで、漠然とした不安を具体的な安心に変えられます。
計画には、事業の方向性、収益や資金繰りの見通し、想定されるリスクとその備えなどを盛り込みます。数字を過度に楽観的に見せる必要はなく、むしろ堅実で現実的な計画のほうが信頼されます。作成にあたっては、専門家の助言を得ると説得力が増します。
経営者保証との関係
承継と金融機関の関係で避けて通れないのが、経営者保証の問題です。先代が会社の借入に個人保証を付けている場合、承継にあたってその保証をどうするかが論点になります。後継者に保証を引き継がせるのか、外せるのかは、金融機関との協議事項です。
近年は、経営者保証に依存しすぎない融資を促す指針や取り組みが広がっており、一定の条件を満たせば保証に頼らない形を相談できる環境が整いつつあります。ただし、適用の可否は会社の状況によって異なり、制度も変わり得ます。保証の扱いは、金融機関や専門家とよく相談しながら進めることが重要です。
説明に向けた準備の手順
後継者を金融機関に納得してもらうための、準備の手順を示します。
- 取引金融機関ごとの借入と保証の状況を整理する
- 後継者を早めに金融機関に引き合わせ、関係を築く
- 後継者の経歴・適性・経営方針を説明できるようにまとめる
- 承継後の事業計画と資金繰りの見通しを準備する
- 経営者保証の扱いについて金融機関・専門家と協議する
これらは一朝一夕には整いません。承継を意識し始めたら、早い段階から金融機関との対話を始めることが、円滑な資金の引き継ぎにつながります。
まとめ
事業承継では、株式や税金だけでなく、金融機関の理解を得ることも欠かせません。銀行が後継者に抱く不安の多くは、後継者をよく知らないことから生じます。早めに関係を築き、後継者の適性と経営方針、承継後の事業計画を具体的に示すことで、融資を続けてもらう道が開けます。
経営者保証の扱いは金融機関との重要な協議事項であり、制度も変わり得るため、専門家と相談しながら進めることが大切です。株式会社フォーバル 自動車アフターマーケットチームは、相談無料・秘密厳守で、後継者の準備から金融機関への説明まで、承継を総合的にお手伝いします。まずはお気軽にご相談ください。