なぜ経営統合が選択肢になるのか

SSを取り巻く環境は、燃料需要の減少や競争の激化、設備の維持にかかる負担など、単独での経営を年々難しくしています。こうしたなかで、同じ地域や近隣の事業者同士が経営を一つにまとめる統合は、生き残りと成長の両方を見据えた選択肢として意味を持ちます。規模を大きくすることで、単独では届かなかった効率や交渉力に手が届くようになります。

経営統合は、一方が他方を吸収する形もあれば、対等に近い形で一緒になる形もあります。いずれにせよ、二つの事業が一つになることで生まれる力をどう引き出すかが問われます。まずは、統合によって何を目指すのかを明確にすることが出発点になります。

規模の経済とは何か

経営統合で語られる規模の経済とは、事業の規模が大きくなるほど、一単位あたりのコストが下がったり、効率が高まったりする効果を指します。小さな事業が単独で背負っていた負担を、より大きな規模で分かち合えるようになることで、経営の体力が増していきます。SSのように設備や仕入の負担が重い事業では、この効果が特に意味を持ちます。

ただし、規模を大きくすれば自動的に効率が上がるわけではありません。統合によって生まれる可能性を、実際の効率や強みに変えていく取り組みが欠かせません。規模の経済は目指すべき方向であると同時に、努力して実現するものだと捉えることが大切です。

共同仕入によるコスト効率

経営統合の効果として分かりやすいのが、仕入をまとめることによるコスト効率です。それぞれが別々に仕入れていたものを一つにまとめれば、取引の規模が大きくなり、交渉の場でより有利な条件を引き出せる可能性が高まります。仕入は事業のコストの大きな部分を占めるため、ここでの効率化は経営全体に影響します。

仕入だけでなく、設備の保守や消耗品の調達なども、まとめることで効率が上がる余地があります。統合前にそれぞれがどのような条件で仕入や調達を行っていたかを整理し、一つにまとめたときにどのような効果が見込めるかを見極めることが、統合の価値を測るうえで役立ちます。

共同仕入の効果を見込むときは、実際に条件が変わるのかを事前に確かめてください。数量がまとまれば必ず条件が良くなるとは限らず、既存の取り決めや系列の事情によって、動かせる幅が限られていることがあります。統合の前提として大きな効果を織り込んでいたのに、実際には変わらなかったという例もあります。

ですから、統合の話が具体化する前に、仕入先に感触を確かめておくほうが確実です。守秘の関係でどこまで話せるかは、仲介や専門家に確認したうえで進めてください。

人員の再配置を考える

経営統合では、人の力をどう活かすかが成否を分けます。二つの事業が一つになると、業務の重なりが生まれる一方で、人員をより柔軟に配置できるようになります。忙しい拠点に応援を送ったり、それぞれが得意とする分野に人を集めたりと、単独では難しかった配置が可能になります。

  • 拠点間で人員を融通し合える体制づくり
  • それぞれの得意分野を活かした配置
  • 業務の重なりを整理して負担を減らす
  • 働く人が安心できる処遇と説明

人員の再配置は効率の観点だけでなく、そこで働く人の思いにも関わる繊細な問題です。統合によって雇用や処遇がどうなるのかは、従業員にとって大きな関心事です。丁寧な説明と配慮を欠くと、統合の効果を出す前に人が離れてしまうこともあります。人を大切にする姿勢が、統合を成功に導く土台になります。

再配置で気をつけたいのは、移動そのものが人にとって大きな負担だという点です。通勤の距離が変わる、勤務の時間帯が変わる、一緒に働く相手が変わる。効率の面では正しい配置でも、当人の生活が成り立たなければ、その方は辞めます。

ですから、配置を考えるときは、名前を並べて具体的に検討してください。人数の帳尻だけを合わせた計画は、実行の段階で必ず崩れます。そして、崩れたときに失うのは、たいてい最も動いてほしかった方です。

統合後の運営効率を高める

統合の効果を本当に引き出せるかは、一つになった後の運営にかかっています。仕入や人員をまとめても、運営の仕組みがばらばらのままでは、規模の経済は絵に描いた餅で終わってしまいます。業務の進め方や管理の仕方をそろえ、二つの事業を一つの流れとして動かせるようにすることが求められます。

それぞれの事業が培ってきた良いやり方を持ち寄り、より良い形に整えていく姿勢が大切です。片方のやり方を一方的に押しつけるのではなく、互いの強みを活かし合うことで、統合ならではの効率が生まれます。運営を一つにまとめる作業には相応の時間がかかるため、焦らず段階的に進めることが望まれます。

統合を成功に導くために大切なこと

経営統合は、規模の経済という魅力がある一方で、二つの異なる組織を一つにするという難しさを伴います。経営の考え方、働く人の文化、取引先との関係など、目に見えにくい違いをどう擦り合わせるかが、統合の成否を左右します。数字のうえでの効果だけでなく、こうした人と組織の側面に目を向けることが欠かせません。

統合の話し合いでは、互いの事業への敬意を持ち、目指す姿を共有することが土台になります。何のために一つになるのか、統合後にどんな事業でありたいのかを、経営者同士がしっかりと話し合うことが大切です。この土台があってこそ、規模の経済という果実を手にすることができます。

専門家とともに統合を進める

SS同士の経営統合は、仕入や人員、運営の効率化に加えて、契約や許認可、組織の擦り合わせなど、多くの論点が絡み合います。当事者だけで進めるには負担が大きく、感情的な行き違いも生じやすい領域です。業界に詳しい専門家が間に入ることで、話し合いが整理され、双方が納得できる形へ近づけます。

私たち株式会社フォーバル 自動車アフターマーケットチームは、ガソリンスタンド(SS)業界に特化してM&Aや経営統合を支援しています。相談無料・完全成功報酬・秘密厳守で、統合の目的の整理から相手との調整、統合後の体制づくりまで伴走します。統合を検討し始めた段階から、お気軽にご相談ください。

効率は自動では生まれない

統合の話をするとき、規模が大きくなれば効率が上がるという前提が置かれます。理屈としては正しいのですが、統合しただけで効率が上がるわけではありません。実際に何かを一つにまとめる作業をして、初めて効果が出ます。

仕入をまとめるには、条件を交渉し直す必要があります。人を融通するには、勤務の仕組みを揃える必要があります。事務をまとめるには、それぞれのやり方を一本化する必要があります。どれも手間がかかり、どれも現場の抵抗を伴います。

そして、この作業をやり切らないまま数年が過ぎると、看板だけが一つになって、中身は二つのままという状態になります。この状態は、効率が上がらないだけでなく、意思決定が複雑になるぶん、統合前より悪くなることさえあります。統合を検討するなら、統合した後に誰が何をどう一つにするのかまで、先に描いておいてください。

対等という言葉が、判断を曖昧にする

統合の話は、しばしば「対等」という言葉とともに始まります。互いの独立性を尊重し、どちらが上でも下でもない、という理解です。関係を保つうえでは大切な配慮ですが、実務では危険をはらみます。

事業を回すうえでは、必ず決めなければならないことが出てきます。どちらのやり方に合わせるのか、誰が最終的に決めるのか、意見が割れたときにどう決着させるのか。対等という前提を守ろうとすると、この決定が先送りされます。先送りが重なれば、統合は進みません。

ですから、統合を進めるのであれば、決め方を先に決めてください。誰がどの範囲を決めるのか、割れたときにどうするのか。この取り決めは、関係が良好なうちにこそ作れます。もめてから作ろうとしても、まとまりません。取り決めの形については、専門家に相談したうえで書面にしておくことをお勧めします。

現場の人にとっては、統合も代替わりと同じ

経営者どうしの間では、統合は前向きな話です。しかし、現場で働く方にとっては、これまでと違う会社の人と一緒に働くことになる、という変化です。しかも、相手はこれまで競合として意識してきた店かもしれません。

待遇の違い、やり方の違い、道具や手順の違い。並べて比べられるようになると、不満が出ます。とくに、待遇に差がある場合、それをどう揃えるのかは避けて通れない論点です。揃えるには費用がかかり、揃えなければ不公平感が残ります。

この部分は、統合の計画を立てる段階で数字にしておいてください。効率が上がる分と、待遇を揃えるためにかかる分を並べて、それでも成り立つのかを確かめる。ここを楽観的に見積もったまま進めると、統合の効果が出る前に人が離れます。労務に関わる取り決めは扱いが複雑ですので、専門家に入ってもらってください。

近すぎる店は、どちらかを閉じる話になる

統合の効果として、近隣の店をまとめられることが挙げられます。実際、配送や人の融通を考えれば、近いほど効率は上がります。

ただし、近すぎる場合には別の話が出てきます。同じ商圏に二店を維持する意味があるのか、片方に集約したほうがよいのではないか、という議論です。これは経営としては自然な検討ですが、閉じられる側の店の従業員にとっては、雇用の問題そのものです。

ですから、統合を進める前に、両者の店をどうするつもりなのかをはっきりさせておいてください。両方続けるつもりなのか、いずれ集約する可能性があるのか。曖昧にしたまま進めて、後から集約の話を持ち出すと、統合そのものへの信頼が崩れます。難しい話ですが、先に共有しておくほうが、結果として傷は浅く済みます。

統合は、譲渡と比べたうえで選ぶ

統合を考える背景には、単独では立ち行かないという事情があることが多いものです。設備の更新が重い、人が集まらない、後継者がいない。これらは、譲渡を検討する理由とも重なります。

つまり、統合と譲渡は、同じ悩みに対する別々の答えだということです。であれば、どちらが自社にとって良いのかを比べたうえで選ぶべきです。統合であれば経営に関わり続けられますが、決定の自由度は下がります。譲渡であれば対価を得て離れられますが、事業からは手を引くことになります。

どちらが良いかは、経営者が何を望むかによって決まります。そして、この比較は、話が具体化する前にしておくべきです。統合の話が動き出してから譲渡の可能性を考え始めると、相手との関係に配慮して、比べること自体がしにくくなります。早い段階で、両方の選択肢について専門家の見立てを聞いておいてください。

まとめ

SS同士の経営統合は、共同仕入によるコスト効率、人員の柔軟な再配置、運営効率の向上を通じて、規模の経済を目指す取り組みです。単独では難しいことも、規模を持ち寄ることで実現できる可能性が広がります。

ただし、規模を大きくするだけで効果が出るわけではなく、人と組織を丁寧に一つにまとめる努力が欠かせません。統合の目的を明確にし、専門家の伴走を得ながら段階的に進めることが、成功への近道です。まずは何を目指すのかを整理することから始めてみましょう。