漠然とした不安の正体を知る

将来への不安は、多くの経営者が抱えているものです。しかし、その不安が漠然としたままだと、何をすればいいのか分からず、ただ気持ちが重くなるばかりです。不安が大きく感じられるのは、その正体がはっきりしていないことにも一因があります。

まず知っておきたいのは、不安を抱くこと自体は決して弱さではないということです。真剣に事業と向き合っているからこそ、将来が気にかかるのです。その不安に正面から向き合うことが、次の一歩へつながります。

漠然としているうちは、不安は実際より大きく感じられます。輪郭がないものは、想像でいくらでも膨らむからです。逆に、正体が分かってしまえば、たとえ深刻な問題であっても、対処を考える対象に変わります。

第一歩:不安を言葉にする

最初にすべきことは、不安を言葉にすることです。頭の中で漠然と渦巻いている不安を、紙に書き出すなどして一つずつ具体的にしてみます。「燃料需要が細っていくのが心配」「後継者がいない」「設備の更新が重荷」というように、分けて書き出すだけで気持ちが整理されます。

不安を言葉にすると、大きな塊に見えていたものが、実は複数の個別の課題の集まりだったと分かります。一つひとつに分けて見れば、それぞれに対処のしようがあることも見えてきます。言語化は、不安と向き合うための最初の、そして最も大切な一歩です。

言葉にするときは、きれいにまとめようとしないことです。思いついた順に、断片のまま書き出す。整った文章にしようとすると手が止まりますし、整える過程で本当に気になっていることが抜け落ちます。

第二歩:解決できるものとできないものを分ける

不安を書き出したら、次はそれを仕分けします。自分の努力で解決に近づけられるものと、自分ではどうにもならないものとに分けてみましょう。設備や人材の課題は工夫の余地があり、燃料需要を取り巻く環境の変化は個人では変えられません。

この仕分けをすると、力を注ぐべきところがはっきりします。変えられないことに悩み続けるのではなく、変えられることに向き合う。この切り分けができるだけで、不安に押しつぶされそうな感覚がずいぶん軽くなります。

分けてみると、多くの場合、自分では動かせないものが少なくないことに気づきます。燃料の需要も、地域の人口も、自分の努力では変わりません。ここに力を注いでも、疲れるだけです。

大事なのは、動かせないものについては「備える」に切り替えることです。変えられないが、来たときにどうするかは決められる。この切り替えができると、同じ状況でも心の負担はずいぶん変わります。

第三歩:選択肢を整理する

課題が見えてきたら、取り得る選択肢を整理します。事業を続けて改善に取り組む道、後継者を育てる道、良い相手へ引き継ぐ道など、ガソリンスタンドの将来には複数の道があります。どれが正解ということはなく、自社の状況に合った道を選ぶことが大切です。

選択肢を並べてみると、「もう続けられない」と思い詰めていた状況にも、実はいくつもの道があったと気づくことがあります。選べる道があると分かるだけで、不安は前向きな検討へと変わっていきます。視野を広げることが、不安を希望に変える鍵になります。

選択肢を並べるときは、実現しそうにないものも一度は書いておくとよいでしょう。書いたうえで外すのと、最初から考えないのとでは、後の納得感が違います。検討したという事実が、決めた後の迷いを減らします。

一人で抱え込まない

不安と向き合ううえで避けたいのが、一人で抱え込むことです。経営者は孤独になりやすく、将来の悩みを打ち明けられる相手が身近にいないことも少なくありません。しかし、一人で考え続けると視野が狭まり、不安がかえって膨らんでしまいます。

信頼できる誰かに話すだけでも、気持ちは軽くなります。家族や仲間に加えて、業界に詳しい第三者に相談することで、自分では気づかなかった選択肢や見通しを知ることができます。抱え込まないことが、不安を和らげる確かな方法です。

抱え込まないというのは、誰かに肩代わりしてもらうことではありません。判断するのは最後まで経営者自身です。ただ、その判断を一人きりの頭のなかだけで行わない、ということです。話す相手がいるだけで、考えは整理されます。

早めに相談することの意味

不安を感じ始めた早い段階で相談することには、大きな意味があります。時間に余裕があるほど、選べる選択肢は多く残されています。続ける道も、引き継ぐ道も、じっくり検討したうえで自分に合った答えを選べます。追い詰められてからでは、選択肢が限られてしまいます。

相談は、何かを決断する場ではありません。現状を整理し、どんな道があるのかを知るための場です。結論が出ていなくても、不安を感じている今こそ相談する価値があります。早めに動くことが、後悔のない将来への備えになります。

早めに相談することのもう一つの意味は、緊急でない状態で話せることです。切羽詰まってからの相談は、どうしても目の前の火消しが中心になります。余裕があるうちなら、そもそもどうしたいのかから話せます。

不安は、判断を特定の方向に歪める

不安を抱えているときの判断には、癖が出ます。目の前の危険を避けることばかりに意識が向き、少し先の可能性が見えにくくなる。あるいは逆に、考えるのが苦しくて、決めること自体を避けてしまう。

これは性格の問題ではなく、誰にでも起こることです。だから、大きな判断をするときは、自分が今どういう状態で考えているのかを一度確かめる価値があります。落ち着いているときの自分なら、同じ結論になるだろうか。

この確認をする簡単な方法は、時間を置くことです。今日決めなければならないことは、実はそれほど多くありません。一晩置いても結論が変わらないなら、それは不安が生んだ判断ではないということです。

夜に考えたことは、朝もう一度見る

不安は夜に大きくなります。静かで、比べる相手もなく、悪い想像が広がりやすい。多くの経営者が、眠れない夜に事業のことを考えています。

しかし、そこで出した結論を翌朝に見返すと、ずいぶん違って見えることがあります。だから、夜に考えたことは、その場で決めずに書き留めておき、朝に読み返すという習慣が役に立ちます。

書き留めること自体にも効き目があります。頭のなかで回っているうちは同じところを何周もしますが、紙に出すと止まります。それ以上考えなくてよい、という状態になるだけでも、眠りは変わります。

相談できない理由のほうを、先に見る

一人で抱えないほうがよいと分かっていても、相談できないことがあります。その理由を自分で見ておくと、次の一歩が見つかります。

多いのは、弱みを見せたくないという気持ちです。長く経営してきた立場では、困っていると言いにくい。次に多いのが、話しても仕方がないという諦め。そして、誰に話せばよいか分からないというもの。

それぞれ、対処は違います。弱みを見せたくないなら、利害のない相手を選ぶ。仕方がないと思うなら、まず整理だけを頼む。分からないなら、日頃付き合いのある相手から始める。理由が分かれば、道はあります。

同じ立場の人と話す価値

専門家への相談とは別に、同じような立場の経営者と話すことには独自の意味があります。専門家は解決策をくれますが、同じ立場の人は「自分だけではない」という感覚をくれます。

不安が重くなるのは、自分だけが苦しんでいるように感じるときです。同じ規模、同じ業種、同じ年代の経営者が同じことで悩んでいると知るだけで、抱えているものの重さは変わります。

組合や地域の集まり、勉強会。場は探せばあります。深い話をする必要はなく、顔を合わせて近況を話すだけで十分です。そういう相手を一人でも持っている経営者は、判断の場面でも粘りが利きます。

不安が消えなくても、動くことはできる

不安をなくしてから動こうとすると、いつまでも動けません。事業に関わる不安は、状況が変わるたびに形を変えて現れ続けるものだからです。

目指すべきは、不安をなくすことではなく、不安を抱えたまま次の一歩を決められる状態です。全部が見えていなくても、次に何を確かめるかは決められます。それを繰り返すうちに、見えている範囲は広がります。

そして、動き始めると不安は少し軽くなります。何も分からない状態が最も苦しく、一つ確かめるごとに、扱えるものに変わっていくからです。不安を減らすために動くのではなく、動くことで結果的に減っていくのです。

家族に、どこまで話すか

事業の不安を家族に話すかどうかは、悩ましい問題です。心配をかけたくないという思いから、何も言わずに一人で抱える経営者は少なくありません。

ただ、黙っていても、様子がおかしいことは伝わっているものです。理由が分からないまま心配させるほうが、かえって重い場合があります。何に困っているのかが分かれば、家族の側も受け止め方を持てます。

話すときは、解決を求めるのではなく、状況を共有するつもりで話すとよいでしょう。答えを出してもらう必要はありません。知っている人がいるというだけで、抱えているものは軽くなります。

数字を見ることを避けていないか

不安が強いときに起こりがちなのが、数字を見なくなることです。見れば悪い現実を突きつけられるのではないか。そう思うと、決算書も、月次の資料も、開くのが億劫になります。

しかし、見ていない期間の不安が最も重いというのが実際のところです。見れば、思ったほど悪くないと分かることもありますし、悪ければ悪いなりに、どこが問題かがはっきりします。分からないことが不安の中身です。

一人で見るのが辛いなら、税理士など数字に詳しい相手と一緒に見ればよいのです。説明してもらいながら見ることで、感情に飲まれずに状況を把握できます。ここは我慢して踏み込む価値のある部分です。

体の調子と、気持ちの重さはつながっている

不安が続いているとき、その原因を事業のことだけに求めてしまいがちです。しかし、眠れていない、疲れが抜けない、休みを取っていない。こうした状態が判断を重くしていることは、少なくありません。

この業種の経営者は、現場に立ち、早朝から夜まで動き、休みも取りにくい立場にあります。その状態が何年も続けば、気持ちが晴れないのは自然なことです。事業の問題を解く前に、休むことが先かもしれません。

休むためには、自分がいなくても回る時間をつくる必要があります。そう考えると、休むことと承継の準備は、実は同じ方向を向いています。任せる練習を始めることが、そのまま自分を楽にする道でもあるのです。

まとめ

将来への不安を抱えるガソリンスタンド経営者が最初にすべきことは、不安を言葉にし、解決できるものとできないものを分け、選択肢を整理することです。そして一人で抱え込まず、早めに相談することが、漠然とした不安を前向きな検討へと変えていきます。

私たち株式会社フォーバル 自動車アフターマーケットチームは、ガソリンスタンド(SS)業界に特化して経営者の悩みに寄り添ってきました。相談無料・秘密厳守で、まだ何も決まっていない不安の段階からお話をうかがいます。一人で抱え込まず、まずはお気軽にお声がけください。