人手不足の中での選択肢
多くのSSが、スタッフの確保に頭を悩ませています。募集をかけても応募が集まりにくく、既存のスタッフに負担が偏りがちです。こうした状況の中で、外国人材は貴重な戦力として注目されるようになっています。
外国人材を迎えることは、単に人数を補うだけでなく、店舗に新しい視点や活気をもたらすこともあります。ただし、日本人の採用とは異なる配慮が必要になる場面もあります。まずは、受け入れる側の体制を整えることから始めましょう。
受け入れ体制を整える
外国人材を活用するうえで最も大切なのが、受け入れる側の準備です。採用してから慌てて対応するのではなく、迎える前に体制を整えておくことで、双方が安心して働き始められます。業務の流れや店舗のルールを、誰にでも分かりやすい形に見直しておくとよいでしょう。
また、既存のスタッフに対して、外国人材を迎える意義や協力してほしい点をあらかじめ共有しておくことも重要です。受け入れる側の理解があれば、現場での連携がスムーズになります。準備を丁寧に行うほど、その後の定着につながります。
在留資格の基本を理解する
外国人材を採用する際は、在留資格についての基本的な理解が欠かせません。在留資格によって、日本で行える活動の範囲や就労の条件は異なります。自店で担ってもらいたい業務が、その在留資格で認められているかを確認することが前提になります。
制度は複雑で、判断に迷う場面も少なくありません。適切な手続きを踏まずに雇用すると、思わぬ問題につながるおそれがあります。不明な点は自己判断せず、専門の窓口や詳しい専門家に確認しながら進めることが安心です。制度を正しく理解したうえで受け入れることが、健全な活用の第一歩になります。
言語の壁への向き合い方
外国人材の受け入れでよく課題に挙がるのが、言語によるコミュニケーションです。特に、安全に関わる指示や接客の場面では、意思が正確に伝わることが欠かせません。とはいえ、完璧な日本語を最初から求める必要はありません。
言語面での工夫の例
- 指示や手順を、やさしい言葉で伝える
- 図やイラストを使って視覚的に示す
- 重要な内容は繰り返し確認する
- 本人が質問しやすい雰囲気をつくる
大切なのは、伝わったかどうかを丁寧に確かめる姿勢です。一方的に説明するのではなく、理解を確認しながら進めることで、誤解や事故を防げます。言語の壁は、工夫と歩み寄りで乗り越えられます。
教育とOJTの進め方
外国人材が力を発揮するには、丁寧な教育が欠かせません。特に、給油や接客、油外の提案などSSならではの業務は、実際に手を動かしながら覚えてもらうことが効果的です。現場での指導(OJT)を通じて、段階を追って任せる範囲を広げていきましょう。
教える側は、当たり前と思っていることも一つひとつ言葉にして伝える意識が大切です。文化や習慣の違いから、想定と異なる受け取り方をされることもあります。焦らず、本人のペースに合わせて根気強く教えることが、着実な成長につながります。
また、教える役割を特定の人だけに任せず、店舗全体で支える体制があると安心です。誰に聞いても同じ答えが返ってくる状態を整えておけば、外国人材は迷わずに業務を覚えられます。手順を書き出して共有しておくことも、教える側の負担を減らし、指導のばらつきを防ぐ助けになります。丁寧な仕組みづくりが、育成の効果を高めます。
危険物対応との関係
SSは危険物を扱う現場であり、安全の確保が何よりも優先されます。外国人材を受け入れる場合も、この点に変わりはありません。給油やその見守りに関わる業務では、安全に関するルールを確実に理解してもらう必要があります。
危険物を取り扱う資格が求められる業務については、その要件を満たすことが前提になります。誰がどの業務を担えるのかを整理し、資格や知識に応じて役割を割り振ることが大切です。安全に関わる教育は、言語の壁があるからこそ、より丁寧に行う必要があります。制度や要件の詳細は、専門の窓口に確認しながら進めましょう。
定着の工夫
せっかく採用した外国人材に長く働いてもらうには、定着への工夫が欠かせません。慣れない環境で働く不安を和らげ、安心して力を発揮できるよう支えることが大切です。日々の声かけや、困りごとを相談できる関係づくりが、定着の土台になります。
また、頑張りをきちんと認め、成長を実感できる機会をつくることも効果的です。任せる仕事を少しずつ広げ、店舗の一員として頼りにしていることを伝えれば、働くやりがいが生まれます。人は、必要とされていると感じられる場所に留まりたいと思うものです。
生活面での不安に寄り添うことも、定着を後押しします。慣れない土地での暮らしには、仕事以外の悩みも付きまといます。相談に乗れる範囲で耳を傾け、困りごとがあれば一緒に考える姿勢を示すだけでも、大きな安心につながります。働きやすさは、職場の外の生活も含めて支えられるものです。
共に働く環境づくり
外国人材の活用を成功させる鍵は、既存のスタッフと分け隔てなく、共に働ける環境をつくることです。国籍や文化の違いを、壁ではなく個性として受け止める雰囲気があれば、チーム全体が良い方向に向かいます。互いの背景を尊重し合う姿勢が大切です。
文化や習慣の違いから生じる小さな行き違いは、丁寧な対話で解いていけます。一方に合わせるよう求めるのではなく、互いに歩み寄ることを心がけましょう。多様な人材が力を合わせる店舗は、変化に強く、活気にあふれた場になります。
採用は目的ではなく手段
外国人材の採用は、人手不足を補う有効な手段ですが、それ自体が目的ではありません。大切なのは、迎えた人材が力を発揮し、店舗の運営に貢献し、本人も充実して働ける状態をつくることです。採用して終わりにせず、その後の受け入れと定着までを見据える視点が欠かせません。
私たち株式会社フォーバル 自動車アフターマーケットチームは、ガソリンスタンド(SS)業界に特化して、人材や採用に関する相談に応じています。相談無料・秘密厳守・全国対応で、店舗の状況に合わせた進め方を一緒に考えます。人材のことで迷ったら、気軽にご相談ください。
確認が先、採用はその後
この分野は、制度の確認を済ませてから話を進める必要がある点が、他の採用と大きく違います。順序を誤ると、採用してから任せられない業務があると分かる、という事態が起こります。
採用の前に確かめるべきことは、次のとおりです。
- その方の在留資格で、どういう活動が認められているか
- 就労に制限があるか、あるならその内容
- 在留期間と、更新の時期
- こちらの事業内容と、認められる活動が合っているか
- 雇い入れに際して必要な手続や届出があるか
これらはいずれも判断の余地がない領域です。制度は見直されることもあり、個別の事情によって扱いも異なります。自己判断せず、出入国在留管理庁の窓口や、専門家(行政書士・社会保険労務士など)にご確認のうえ進めてください。本記事では、制度の中身ではなく、受け入れる側の体制について扱います。
とくに四つ目については、ガソリンスタンドの業務が認められる範囲に含まれるかどうかを、必ず事前に確認してください。ここを確かめずに進めることは、本人にとっても会社にとっても大きな不利益になります。
危険物を扱う現場であること
この業種には、他の職場にはない前提があります。受け入れを検討するなら、ここを最初に整理してください。
- 誰がどの業務を行えるのか、資格に関する定めを確認する
- 安全に関わる指示や表示が、確実に伝わる形になっているか
- 緊急時の対応を、言葉の壁を越えて伝えられるか
- 本人が理解しているかを、どうやって確かめるか
三つ目が、最も慎重に扱うべき点です。緊急時に「分かったつもり」では済みません。手順を図や写真で示す、実際に動いてもらって確認する、といった形で、言葉に頼らない伝え方を用意してください。
四つ目については、「分かりましたか」と聞いて頷かれても、確かめたことにはなりません。これは言葉の問題だけでなく、聞き返しにくさの問題でもあります。実際にやってもらう、説明し返してもらう、といった形で確かめてください。
資格や業務の可否に関する具体的な定めは、必ず所管の窓口と専門家にご確認ください。
言葉の壁を、仕組みで下げる
語学力に頼るのではなく、伝わりやすい形に業務のほうを変えるという発想が有効です。
- 手順を、写真や図で示す
- 表示に、記号や色を併用する
- 使う言葉を、店の中で統一する(同じものを別の呼び方で呼ばない)
- 頻出する言い回しを、一覧にして共有する
- 数字や記録の形式を、言葉に頼らない形にする
三つ目は、実は日本語を母語とする人にも効きます。同じ道具を人によって別の名前で呼んでいる職場は珍しくありません。これを揃えるだけで、新しく入った人全員の立ち上がりが早くなります。
一つ目についても同様です。写真で示された手順は、誰にとっても分かりやすいものです。特定の人のためだけの対応ではなく、教育の仕組みそのものの改善として取り組んでください。スタッフ教育の仕組み化もあわせてご覧ください。
受け入れる側の準備
本人の努力だけでは、定着しません。迎える側の準備が要ります。
- 誰が主に面倒を見るのかを決める
- その人の負担が過大になっていないか
- 他の従業員に、事前に説明しているか
- 生活面の相談を、誰が受けるのか
- 困ったことを言い出せる相手がいるか
三つ目を飛ばすと、現場に戸惑いが生まれます。いつから、どういう方が入るのか、何を一緒に進めてほしいのかを、事前に伝えておいてください。説明がないまま迎えると、双方が探り合うことになります。
四つ目については、業務の範囲を超える部分です。住まい、行政の手続、日常の困りごと。どこまで関わるのかを、あらかじめ決めておいてください。抱え込みすぎると担当者が疲弊し、突き放すと定着しません。相談先を紹介できる形を用意しておくのも一つの方法です。
目的を取り違えない
この取り組みは、人手不足への対応として検討されることが多いものです。ただし、次の点は押さえておいてください。
- 受け入れには、制度の確認と体制の準備という手間がかかる
- 在留期間には限りがあり、いつまでも同じ体制が続くとは限らない
- 言葉と文化の違いに向き合う時間が必要になる
- その手間を惜しむと、本人にとっても会社にとっても良い結果にならない
二つ目は、計画に織り込む必要があります。期間が定まっているなら、その間に何を任せ、次にどうつなぐかまで考えておいてください。
そして、この取り組みを通じて整えたもの、写真での手順書、統一された言葉、教える体制は、すべての従業員に効きます。受け入れをきっかけに教育の仕組みが整った、という例は少なくありません。手間として捉えるより、その方向で位置づけるほうが、結果として続きます。
まとめ
SSにおける外国人材の活用は、人手不足の中で店舗を支える有力な選択肢です。受け入れ体制を整え、在留資格の基本を理解し、言語や教育に工夫を凝らすことが成功の土台になります。危険物を扱う現場だからこそ、安全に関わる教育は特に丁寧に行いましょう。
定着には、安心して働ける関係づくりと、成長を実感できる機会が欠かせません。国籍を越えて共に働ける環境を整えることで、外国人材は店舗の大きな力になります。採用を手段と捉え、迎えた人材と共に成長していく姿勢を大切にしましょう。