費用を決める要素
金額は面積では決まりません。次の要素で動きます。
- 対象となる物質の種類
- 濃度
- 深さ(表層だけか、地下水に達しているか)
- 範囲(連続しているか、点在しているか)
- 地下水の状況
- 選ぶ対策の方法
- 掘った土をどこへ運ぶか(距離と処分先の受入価格)
- 作業できる範囲(重機が入れるか、稼働を止める必要があるか)
3番目と6番目の組み合わせが最も大きく効きます。表層を覆う方法と、掘って搬出する方法では、桁が変わります。
7番目も無視できません。搬出する場合、費用の大部分は運搬と処分です。処分先が遠ければそれだけ上がります。
8番目は事業への影響です。操業を止めて作業する場合、その期間の売上が失われます。これも費用として計算に入れてください。
対策の方法と費用の傾向
選べる方法には段階があります。安い順に挙げます。
- 覆う:舗装や盛土で遮る。掘らないため安い。
- 封じ込める:拡散を防ぐ構造をつくる。
- その場で処理する:掘らずに分解や吸着を行う。時間がかかる。
- 掘って場外へ出す:確実だが最も高い。
1番目で足りる場合があります。「掘り出さなければならない」と思い込んで見積もりを取ると、不要に高い金額を見ることになります。
どの方法が取れるかは、物質と状況、そして土地をその後どう使うかによります。事業を続けるなら覆う方法で足りることがあり、更地にして売るなら搬出が求められることがあります。目的を先に決めてから見積もりを取ってください。
見積もりの取り方
1社だけでは判断できません。取り方に工夫が必要です。
- 3社以上から取る
- 同じ資料を渡す(調査の報告書、図面、使い方の希望)
- 対策の方法を指定せず、提案してもらう
- 内訳を出してもらう(調査、設計、工事、運搬、処分、諸経費)
- 想定を超えた場合の扱いを聞く
- 工期と、その間の操業への影響を聞く
3番目が要点です。方法を指定すると、その方法での金額しか出てきません。目的を伝えて提案を求めれば、安い方法が見つかることがあります。
4番目も必ず求めてください。総額だけでは比べられません。内訳が出れば、どこで差がついているかが分かります。運搬と処分の単価が違うだけの場合もあります。
5番目は後の争いを防ぎます。掘り進めて範囲が広がった場合、追加をどう扱うのか。契約の前に確認してください。
調査と対策を分ける
調査した会社にそのまま対策を頼むのが自然に見えますが、分けたほうがよい場合があります。
- 調査の結果が対策の必要性を判断する材料になる
- 同じ会社だと、対策が必要という結論に傾く可能性を排除できない
- 対策の見積もりを複数から取りやすくなる
2番目は疑うというより、構造の話です。調査だけを依頼し、その報告書を持って複数社に相談するという順序にすれば、判断の材料が中立になります。
報告書は自社の資産として保管してください。後の承継やM&Aでそのまま使います。
費用を下げる工夫
やり方で変わる部分があります。
- 使い方の希望を絞る(更地にせず、事業を続ける前提にする)
- 範囲を正確に把握する(不要な部分を掘らない)
- 工期を急がない(余裕があれば安い方法が選べる)
- 処分先の選択肢を広げる
- 操業を止めない工程を組む
- 数年に分けて段階的に行う
2番目が効きます。範囲が曖昧なままだと、安全側に広く見積もられます。調査の密度を上げる費用のほうが、余分に掘る費用より安いことがあります。
6番目も検討してください。一度に全部やる必要がない場合、資金繰りに合わせて分けられます。ただし承継の期限があるなら、間に合うかを確認してください。
金額をつかむこと自体に意味がある
対策をすぐ行わない場合でも、概算を把握しておく価値があります。
- 承継やM&Aの交渉で、条件の話に移れる
- 自社株の評価や資産の見方に反映できる
- 資金計画に織り込める
- 廃業を選ぶ場合の総額に含められる
1番目が実務上の効果です。金額が分かっていれば、相手は「その分を差し引く」という話ができます。分からなければ、話そのものが止まります。
金額が出たあとの使い方
見積もりが揃ったら、そのまま経営の判断材料にしてください。
- 資金繰りのどの時期に充てられるか
- 借入で対応する場合、返済に耐えられるか
- 設備投資と、どちらを先にするか
- 承継の時期をずらす必要があるか
- 土地を残して貸す形に変えるか
3番目の判断が実務的です。限られた資金をどちらに使うかを比べれば、優先順位が決まります。
5番目も選択肢に入れてください。対策を急がず、土地を自分に残して事業だけを譲る形なら、費用の発生時期を自分で選べます。
安すぎる見積もりに注意する
金額だけで選ぶと後で困ります。確認してください。
- 調査の密度が十分か(少ない地点で判断していないか)
- 処分先が明示されているか
- 追加が生じる条件が書かれているか
- 完了後の確認方法が決まっているか
- 報告書を作成してもらえるか
5番目が後の場面で必要になります。対策を行った記録がなければ、承継の交渉で「やった」と示せません。
※ 土壌対策の費用は個別の条件によって大きく異なります。具体的な金額は専門機関の調査に基づいてご確認ください。