まず一覧を作る

意外に、自社に必要な資格を把握していない会社があります。まず洗い出してください。

解体・リサイクル業の現場で関わり得るものを挙げます。実際に必要なものは作業内容と設備によって変わるため、自社の作業に照らして確認してください

重機・車両関係

  • 車両系建設機械の運転に関するもの(機械の規模によって区分が変わります)
  • フォークリフトの運転に関するもの
  • 小型移動式クレーンに関するもの
  • 玉掛けに関するもの
  • 大型自動車、けん引の運転免許

作業関係

  • ガス溶接、アーク溶接に関するもの
  • 低圧電気取扱いに関する教育(高電圧作業に関わる場合)
  • フロン類の回収に関するもの
  • エアバッグ類の処理に関する講習
  • 有機溶剤、特定化学物質に関するもの(該当する作業がある場合)

管理関係

  • 安全衛生に関する選任(従業員数によって必要になります)
  • 危険物の取扱いに関するもの(保管量によって)
  • 廃棄物の処理に関する講習

この一覧を作るだけで、足りていないものが見えます

配置の表を作る

次に、誰がどの資格を持っているかを表にします。縦に人、横に資格を並べる形です。

この表で確認すべき点は次のとおりです。

  • 1人しか持っていない資格はどれか:最大のリスクです。
  • その人が休んだら止まる工程はどれか
  • 有効期限があるものは、いつまでか
  • 高齢の従業員に集中していないか

1番目が最も重要です。重機のオペレーターが1人、玉掛けができるのが1人という状態は珍しくありません。その人が骨折すれば、事業が止まります。

複数化を計画する

一覧と配置表ができたら、優先順位をつけて複数化してください。

優先度の判断基準を示します。

  1. 1人しか持っておらず、毎日必要な資格:最優先。
  2. 1人しか持っておらず、その人が高齢:次点。
  3. 有効期限が近いもの:更新漏れを防ぐ。
  4. 今後必要になるもの:高電圧作業など。

費用と時間がかかりますが、1人が抜けて操業が止まる損失と比べてください。数日の講習費用のほうが小さいのが通常です。

そして計画的に進めてください。全員を同時に受講させると、その期間の現場が回りません。

更新を管理する

資格には、有効期限があるもの、定期的な再教育が求められるものがあります。

管理の仕組みを挙げます。

  • 一覧表に期限を書き込む
  • 期限の3か月前に通知が出るようカレンダーへ登録する
  • 管理する担当を決める(社長1人が覚えている状態を避ける)
  • 資格証の写しを一括で保管する

4番目が実務で効きます。「持っているはずだが、証明書がどこにあるか分からない」という状態は、行政の確認や承継の調査で問題になります。

新しく入った人への対応

採用時に確認すべき点があります。

  • どの資格を持っているか(証明書を確認する)
  • 実務経験はどれくらいか
  • 入社後に取得させる資格と、その時期

そして資格がない作業に従事させないこと。忙しいときに「ちょっとだけ」と任せるのが、事故と法令違反の起点になります。

誰が何をしてよいかを明示し、現場に掲示してください。

資格と技能は別

混同しないでください。資格があっても、実務ができるとは限りません。

  • 資格を取ったばかりの人は、経験者が付いて作業させる期間を設ける
  • その期間の目安を決める
  • 1人で任せてよいかを判断する人を決める

特に重機と吊り作業は、資格取得直後の事故が起きやすい領域です。「資格を取ったから任せる」という運用は危険です。

承継の場面で確認される点

買い手は次を見ます。

  • 必要な資格を持つ人が配置されているか
  • 1人に依存している工程がないか
  • 更新の管理がされているか
  • 従業員の年齢構成(数年後に何人抜けるか)
  • 資格がない作業をさせていないか

2番目と4番目が評価を左右します。「この人が辞めたら操業できない」という状態はリスクとして計算されます

逆に、複数化され、更新が管理され、記録が揃っている会社は、そのまま引き継げます。一覧表を作ることから始めてください。半日で作れて、その日から使えます

費用と時間を見込む

資格の複数化には、費用と現場を離れる時間がかかります。計画に入れてください。

確認すべき点を挙げます。

  • 受講に要する日数(数日から1週間程度のものがあります)
  • 受講費用
  • その期間、現場をどう回すか
  • 受講できる時期(定員があり、希望の時期に取れないことがあります)
  • 支援制度が使えるか

4番目に注意してください。「必要になったから取る」では間に合わないことがあります。年間の計画に組み込んで、早めに申し込んでください。

5番目については、人材育成に関する支援制度が用意されている場合があります。年度によって内容が変わるため、その都度確認してください。

※ 必要な資格や教育は作業内容、機械の規模、事業所の規模によって異なります。個別の要否は所管の窓口および専門機関へご確認ください。