保管が危険な理由

取り外した電池は、次の性質を持ちます。

  • 電圧を保持しており、端子に触れれば感電する
  • 内部が損傷していると、遅れて発熱・発火することがある
  • 一度燃え始めると消火が難しく、隣接するものへ連鎖し得る
  • 質量があり、倒れれば人にも物にも被害が及ぶ

つまり置いてあるだけで危険が続くという部材です。他の部品と同じ扱いにはできません。

保管場所の選定

次の条件で場所を決めてください。

  • 他の可燃物から離れている:発火した場合に周囲へ広がらない距離を取ります。
  • 建物や設備から離れている:事務所や倉庫に隣接させないでください。
  • 水濡れしない:屋根があるか、防水された容器に入れます。
  • 直射日光と高温を避ける:夏場の温度上昇は無視できません。
  • 関係者以外が近づかない:区画し、表示します。
  • 異常に気づける:毎日誰かが通る場所、または点検の対象にします。

最後の点が見落とされます。敷地の隅に置いて誰も見ない状態が最も危険です。異常を発見できません。

置き方

  • 端子部を絶縁する
  • 金属が接触しないよう間隔を取るか、絶縁材で仕切る
  • 積み重ねない(荷重で損傷する可能性があります)
  • 倒れないよう安定して置く
  • 取り出すときに他を動かさなくてよい配置にする

専用の容器を使う方法もあります。引渡先が指定する容器がある場合は、それに従ってください。

損傷品は必ず分ける

最も重要な運用です。

次のものは、正常品と同じ場所に置かないでください。

  • 外装に変形や亀裂があるもの
  • 異臭がするもの
  • 発熱しているもの
  • 液体が漏れているもの
  • 水没車から外したもの
  • 大きな衝撃を受けた車から外したもの

これらはさらに離隔した場所に、単独で置くのが原則です。そして一定期間は特に注意して観察します。

判断に迷うものは、損傷ありとして扱ってください。正常品として置いて発火するほうが、はるかに大きな損失になります

異常の早期発見

点検の項目を決めて、毎日確認してください。数分で済みます。

  • 外観に変化はないか(膨らみ、変形)
  • 異臭はないか
  • 温度に異常はないか(手を近づける、または測る)
  • 周囲に液体の跡はないか
  • 数量は記録と合っているか

異常を見つけた場合の連絡先と初動を、あらかじめ決めて掲示しておいてください。発見した人がその場で判断できる状態にします。

数量を溜めない

保管の危険は、数量に比例します。だから最も効果的な対策は早く引き渡すことです。

運用として決めるべきことを挙げます。

  • 保管できる上限の数量
  • 上限に近づいたら引渡を手配する
  • 上限を超えるなら、取り外しのペースを調整する
  • 引渡先を複数確保しておく(1社に依存すると止まったときに溜まります)

「まとまるまで待つ」という判断は、この部材については慎重に行ってください。まとめて置いておく期間そのものがリスクです。

消火の準備

この種の電池の火災は、通常の消火手段では収まりにくいことがあります。

準備すべき点を挙げます。

  • 保管場所の近くに消火の手段を置く
  • 大量の水が使えるようにしておく(冷却が有効な場面があります)
  • 発生時は自力での消火に固執せず、早期に通報する
  • 消防に対して、そこに何が置いてあるかを伝えられるようにする

最後の点のために、危険物の配置図を作って事務所に貼っておいてください。緊急時に説明できるかどうかで、消火活動の内容が変わります。

記録を残す

次を記録してください。

  • いつ、どの車両から取り外したか
  • 現在の保管数量
  • 損傷の有無と区分
  • 点検した日と、確認した人
  • 引き渡した日と、引渡先

この記録は、安全管理の証明であると同時に、承継の場面で買い手に示す材料にもなります。EVが増えていく前提で、体制があることを示せる会社は評価されます。

引渡先を複数持つ

この部材で最も避けたいのは、引渡先が止まって溜まり続ける状況です。

確認しておくべき点を挙げます。

  • 現在の引渡先は、どの範囲のものを受け入れるか(損傷品も可か)
  • 受入の頻度と、1回あたりの数量
  • 費用が発生するのか、有価で引き取られるのか
  • 容器や梱包の指定があるか
  • 代替の引渡先はあるか

特に1番目です。損傷品を受け入れてもらえない場合、それが敷地に残り続けます。最もリスクの高いものが最も長く置かれる、という最悪の構図になります。事前に行き先を確保してください。

保険を確認する

火災保険の内容を確認してください。次の点が論点になります。

  • 駆動用電池を保管していることが、契約上の告知事項に当たるか
  • この種の火災が補償の対象になるか
  • 近隣へ延焼した場合の賠償が含まれるか
  • 補償額が、在庫と設備の実態に見合っているか

扱う部材が変わったのに保険を見直していない、という状態は珍しくありません。電動車を扱い始めた時点で、一度相談してください

※ 保管の方法や引渡の手続きは、引渡先の指定や制度の運用によって異なります。具体的な取り扱いは引渡先および関係機関へご確認ください。