なぜ登録が必要なのか
カーエアコンの冷媒として使われてきたフロン類は、大気中に放出されると環境に影響を与えます。そのため、使用済自動車から確実に回収し、破壊または再生する仕組みが設けられています。
回収を担うのがフロン類回収業者です。登録を受けていない者が回収することはできません。
必要な設備
登録にあたっては、回収に必要な装置を備えていることが問われます。
- 回収装置本体
- 回収したフロン類を入れる容器
- 容器を適切に保管できる場所
装置は、対象となる冷媒の種類に対応している必要があります。車種によって使われている冷媒が異なるため、扱う車の範囲に合わせて確認してください。近年の車両で使われる冷媒に対応していない古い装置では、対応できない場合があります。
回収装置の点検
見落とされやすいのがここです。装置は使っているうちに性能が落ちます。
- 定期的な点検を行っているか
- 点検の記録が残っているか
- 異常が見つかった際に修理・交換しているか
行政の確認では、装置があることだけでなくそれが機能しているかが見られます。点検記録がなければ、使えているという証明ができません。
記録として残すこと
この業務の中核は記録です。次の内容を残すことになります。
- どの車から、いつ、どれだけ回収したか
- 回収したフロン類を、いつ、誰に引き渡したか
- 引渡を証明する書類
あわせて移動報告も必要です。回収の記録と報告は別物なので、両方が揃っているかを確認してください。
記録は一定期間の保存が求められます。紙で管理している場合、保管場所と探せる状態かどうかが問題になります。行政の確認で「あるはずだが見つからない」は、ないのと同じ扱いになります。
行政の確認で見られる点
立入検査などで問われやすいのは次のとおりです。
- 回収装置の設置状況と点検記録
- 回収量の記録と、処理台数との整合
- 回収したフロン類の保管状況(容器の状態、置き場所)
- 引渡先と、引渡を証明する書類
- 移動報告の実施状況
2番目に注意してください。処理した台数に対して回収量が明らかに少ない場合、回収せずに放出しているのではないかと疑われます。エアコンが付いていない車、既に冷媒が抜けている車もあるため一律には言えませんが、説明できる状態にしておくことが大切です。
作業する人の安全
制度上の要件とは別に、現場の安全も考慮してください。
- 冷媒に直接触れると凍傷の危険があります
- 高圧のガスを扱うため、容器の取り扱いに注意が必要です
- 容器は直射日光や高温を避けて保管します
作業する人を限定し、手順を教育したうえで従事させてください。教育の記録も残しておくと、労働安全の面でも承継の場面でも役立ちます。
承継したときの届出
登録を受けているのは会社です。株式譲渡で株主が変わっても登録は残りますが、役員が変われば変更の届出が必要です。
解体業許可、引取業の登録などと届出先が異なる場合があるため、まとめて確認してください。
事業譲渡では、買い手が新たに登録を受けることになります。装置ごと譲り受けるとしても、登録そのものは引き継げません。
単独では収益が小さい
フロン類の回収だけで事業を成り立たせるのは、現実的ではありません。1台あたりの作業に対して得られる収入が小さいためです。
実務では、引取業や解体業と組み合わせて営むのが通常です。自社で引き取った車を、自社で回収し、自社で解体するという流れにすることで、外注のコストと手間が省けます。
逆に、他社に回収を委託している場合は、自社で登録を取ったほうが有利かどうかを比較してみてください。装置の購入費と点検の手間に対して、外注費と待ち時間の削減が見合うかどうかが判断の基準になります。
回収装置の選び方
装置を新たに導入する、または更新する際の判断材料を整理します。
- 対応する冷媒の種類:扱う車の年代に合っているか。今後増える車種に対応できるか。
- 回収の速さ:1台あたりの所要時間が処理台数に直接効きます。
- 据置か可搬か:作業場所が固定なら据置、複数拠点や出張作業があるなら可搬が向きます。
- 点検・修理の体制:故障したときに何日で復旧できるか。代替機の手配ができるか。
最後の点が見落とされがちです。装置が止まれば、その間フロン類の回収ができず、解体工程全体が止まります。導入時に修理体制まで確認してください。
記録を探せる状態にしておく
記録は「残している」だけでは足りません。求められたときに出せることが必要です。
実務での工夫を挙げます。
- 年月ごとにファイルを分け、背表紙に期間を書く
- 引渡証明は回収記録と同じ場所に綴じる
- 点検記録は装置の近くではなく、他の記録と一緒に保管する
- 保管期間を過ぎたものは、期間を書いて別の場所へ移す
行政の確認は予告なく来ることもあります。担当者が不在でも他の人が出せる状態にしておいてください。
※ 登録の要件や記録の様式は制度の運用により変わることがあります。実際の手続きは所管の窓口へご確認ください。