年々深刻化する後継者不足、原因やその解決策とは?

 年々、日本の中小企業の事業者数は急速に減っており、その背景には「後継者不足」が大きな問題にあると考えられます。

今回は、中小企業における後継者不足問題とは何か?という疑問から、その現状、解決策までを解説していきたいと思います。

 

後継者不足問題とは?

後継者不足とは?

 そもそも、ここで言う「後継者不足」とは何か?

一言で言うと、その名の通り「会社の経営者の跡継ぎがいない状態」を指します。後継者不足が深刻化することにより廃業となる企業が増えている事が問題視されています。この問題は、日本の経済事情を悪化させる大きな要因となります。

では、なぜ後継者不足の状態が生まれるのか?次で詳しくみてみましょう。

 

後継者不足の現状

 後継者不足に陥る理由は、いくつか挙げられます。

 まず、少子高齢化に伴う跡継ぎ不足があります。団塊世代の定年退職により労働者人口が減少し、人手不足の企業が増えています。

 また、これまで伝統的だった親族間での事業承継も、子供が事業を引き継ぐ意思がない場合や、後継者になる能力が備わっていないと判断される場合があり、年々減少しています。相続や税金の親族間トラブルを回避したいなどと考える傾向も強くなっており、親族間での事業承継が不安視されることも多いのが現状です。

 そして、事業を長期的に継続するだけの企業の安定性や将来性、初めから自分の代で経営を終わらせる事を視野に入れていること、経営者の存続意思が弱いことも大きな理由となっています。他にも、長期的に行っていく必要のある後継者の育成、後継者不足問題解決のための対策が遅れていることで、そもそも何から始めて良いのかがわからないという経営者は少なくない様です。

 

後継者不足の解決策

 深刻な問題である後継者不足ですが、上記の現状を踏まえ、いくつかの解決策が考えられるのでみていきましょう。

 

 

親族間での事業承継

 親族間での事業承継は減少していますが、伝統的な手法であると言えます。メリットとして、親族間だからこそ若年からの事業承継の準備が可能であることが挙げられます。もし親族内で後継者が決定するとしたら、長期的に後継者教育をしていく必要があります。それには様々な現場での経験を積み現場や会社を良く理解させる、規模の大きい他社での社会人経験を積ませる、セミナーへの参加により経営者に必要な知識を取得してもらう等の方法があります。これらのことを行っていくことで、現状にある親族間での事業承継の、能力的な部分での承継の不安も軽減されるのではないでしょうか。また社員や取引先に受け入れられやすい承継方法であるとも言えます。デメリットとしては、相続税など資金面での負担が大きくなることが挙げられます。また、後継者不足の現状でも述べたように、親族間の後継者候補の意思によっては、承継がスムーズに行われないことも考えられるでしょう。

 

親族外での事業承継

 後継者不足問題の現状でも述べた様に、親族間での事業承継がされないことが不安視されていることを踏まえ、親族外での事業承継もそれに代わる一つの手段となるでしょう。親族外の後継者の例を挙げると、社内の優秀な人材や、社外の取引先の人材等が考えられます。

 親族外での事業承継には2つの方法があります。1つは「経営」の承継だけをする方法、もう1つは「経営」と「自社株式」両方の承継をする方法です。前者は、元の経営者が株主として残り、「経営」のみを親族外の後継者に引き継がせるというものです。後者は、「経営」と「自社株式」両方の承継、つまり完全に会社を引き継がせるというものです。メリットとしては、後継者がすでに務めている社員や長年勤めている役員であれば、1から従業員教育をすることも不要なので、ある程度保証された、優れた後継者選びをできるという点が挙げられます。デメリットには、資金不足による親族外承継ができない可能性があるという点が挙げられます。親族外承継では後継者が自主株を買い取る多額の資金が必要になるため、それを理由に親族外承継できないという事態に陥ることもしばしば。MBO(マネジメント・バイアウト)として経営陣が金融機関や投資ファンドからの支援を受けて資金調達を行ったり、特別目的会社(Specific Purpose Company,以下SPC)という法人を設立し、SPCの名義により株式を取得する資金を調達することがあります。

 

 

専門家に相談する

   事業承継をサポートしてくれる事業承継の専門家に相談するというのも、一つの手段でしょう。メリットとしては、会計、税務、法務等、様々な専門知識を必要とする事も多い事業承継を行う上で、それぞれのプロに任せる事で、より確実かつ効率的に事業承継を遂行できるという点です。また、手続きも含めて一貫して任せられるのも心強いでしょう。デメリットとしては、依頼が案件によっては高額になるという可能性がある点が挙げられるので、事前確認が大切です。

 

後継者人材バンクの活用

 後継者人材バンクという制度をご存知でしょうか?これは、後継者不足問題を抱える企業の後継者となる人材を代わりにマッチングしてくれるという制度になります。登録されているのは主に起業家や起業家志望の人材で、運営しているのは全都道府県に設置されている事業引き継ぎ支援センターです。メリットとしては、事業引き継ぎ支援センターは国が運営している機関なので、信頼性も高く安心して利用できることが挙げられます。デメリットとしては、たいへん合理的な制度ではありますが、まだ知名度が低くマッチング企業が少ないことが挙げられます。今後認知度が上がればより利便性の高いものになるのではないでしょうか。

 

廃業

 後継者がいないため、事業承継の資金不足、経営者の精神的・体力的な負担でやむを得ず廃業して事業を清算するといった場合があるでしょう。従業員を解雇しなければならなかったり、取引先との関係を終了させることで迷惑をかけてしまったりするため、できれば選択を避けたい手段となります。

 

後継者不足の解決の際のM&Aを活用するメリット

 後継者不足の解決策をいくつか述べてきましたが、どれも何かしら不安定なものになっています。

そこで、様々な面で推奨したいのがM&Aの活用です。後継者不足においてのM&Aの活用では、「会社の経営権を売買」するということになります。かつて、この売買をすることに抵抗を持つ人も少なくはなかったのですが近年ではニュースや各メディアで取り上げられる機会も増え、メリットも多く、たいへん注目されています。次で、M&A活用のメリットを解説していきます。

 

事業売却による利益の獲得

 まず、売り手側は事業を売却した対価を得ることができます。中小企業が行うM&Aの手法として、「株式譲渡」があります。これは、株主が保有する株式を売り手側が譲渡することで、対価として買い手側から現金をもらうというものです。株式譲渡の場合、素早い現金化と税率が20%と法人税等に比べ低い税率で課税される点も売り手株主にとってはメリットとなるでしょう。

 

企業の存続

M&Aにより会社経営を別企業に引き継いでもらうことで、既存の技術や人材などの大切な財産や取引先との関係を守ることにもつながります。廃業となると、これらのものが一切失われてしまいますので、これは大きなメリットと言えるでしょう。

 

M&Aを活用する上での注意点

 メリットも多いM&Aの活用ですが、いくつか注意すべき点があります。

 

M&Aを行う上で注意しなくてはいけない点がいくつかあります。売却の目的、対象を明確にし、それに適した手法で行うことが必要です。手続きをスムーズに行うためにも、専門家に相談しながら進めることをお勧めします。

 

まとめ

 ここまで、中小企業における後継者不足問題とは何か、後継者不足の現状、その解決策までをみてきました。

 後継者不足は深刻な問題ではありますが、前述したように解決策もありますので、今一度会社の状況とメリット・デメリットを照らし合わせた上で、なるべく損のないよう最善の策を検討されてみてはいかがでしょうか?注目されているM&Aを用いた事業承継も、近年は友好的な交渉による成功事例も増えているようです。注意点を踏まえて上手く活用すればメリットが多い手段ですので、今後もその動向に注目です。


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