廃業の手続きの流れや費用を解説!業界別の許認可対応も掲載!

中小企業や個人事業主において、事業をやむ得ない理由により廃業しないといけないケースはあると思います。しかしながら、廃業を行う場合、様々な手続きが必要であり、手続きの手間が大きいだけでなく、費用も余計にかかってしまうケースもあります。今回の記事では、そういった廃業の手続きの詳細を知っていただき、会社をやむを得ない理由で自力での継続が難しくなった場合に、どういう対応が可能かということについてご紹介させていただきます。また、廃業においては、業界ごとに必要な手続きも異なっているため、業界別の見落としがちなポイントについても解説いたします。

廃業とは?

そもそも廃業とは何か、というところについてですが、会社や個人事業主が自主的に事業をやめることです。特に最近では、中小企業や小規模事業者における廃業が増加しており、背景としてはオーナー経営者の高齢化や後継者不足といったことが原因となっています。株式会社における廃業の場合は、株主総会で解散を決議する必要があり、その際に保有している資産や債権の整理をしたり、債務の弁済をしたりといった手続き後、会社を消滅させることです。

廃業とよく間違えられやすいのが休業や倒産などであり、その違いについて見ていきましょう。

(1)休業との違いは?

休業とは、事業を一時的に停止させることであり、事業や法人を消滅させてしまう廃業とは異なってします。

廃業するためには後述する様々な手続きがあり、廃業に伴う登記や資産の整理などに費用等がかかりますが、休業の場合には税務署や自治体への届け出のみで可能です。休業中は、その間の法人税も発生しなくなるため、例えば一時的に事業をお休みしたい場合などに用いられる方法です。したがって休業は、経営を再開する見込みがある場合に選択されるものとなっています。

(2)経営破綻、破産、倒産との違いは?

廃業とよく間違えられるのが、経営破綻や倒産、破産などです。

一般的には、経営破綻とは、借入金や未払金などの債務が増加して返済のめどがたたなくなり、経営を継続して行っていくことができない状態となっていることを言います。また、倒産とは、資金不足などにより実際に不渡りの手形などを出してしまい、銀行との取引を停止させられてしまい、事業が継続できなくなる状態をさします。「倒産」には、資産を債権者に配分する手続きを行った後に会社が消滅する「破産」と、民事再生法や会社更生法に基づく手続きにより会社は消滅せずに再生が図られる「民事再生」とがあります。

廃業手続きとは何か?

廃業とは何かを見ていただいたうえで改めて具体的な廃業手続きについてその概要をお伝えしたいと思います。

廃業手続きの具体的な作業としては税務、登記といった公的機関に対するものや、株式総会といった法的な手続きなどがありますが、これらは大きく分けると、「解散」と「清算」にかかる手続きとなります。

(1)解散とは 

解散とは、会社の事業場の営業を全て停止し、法人格を消滅させるための手続きです。

具体的には、株主総会での特別決議を行うか、書面決議をおこなって株主からの承認を得たうえで法務局にて解散の登記をすることです。

解散手続きを行うことで、会社の法人格を消滅させることが可能となります。しかしながら、解散手続きだけで廃業の手続きが完了するわけではなく、続いて後述の清算の手続きも必要となります。

(2)清算とは 

清算は、会社の債務や債権を整理することであり、清算人として株主総会で指定された者(多くの場合は会社の取締役が任命されます)が、未回収の債権を取り立てたり、まだ残っている債務を弁済したりします。そして最後に残余財産があった場合には、株主に対して配分して処理を完了します。

それでは、続いて具体的な廃業の手続きを紹介しますが、廃業の手続きは株式会社などの法人の場合と、個人事業主とでは異なっています。

法人の廃業手続きは?

上述したとおり、会社の廃業の手続きは複雑な流れがありますが、この章ではその手続きの流れについて説明いたします。

大まかな流れについては次のような手順となっています。

①解散の準備

②株主総会での解散の決議

③解散・清算人選任登記

④解散の届け出

⑤社保関係の手続き

⑥解散公告

⑦解散時の決算書類の作成

⑧解散確定申告

⑨債権回収、債務弁済など

⑩残余財産の確定・分配

⑪決算報告書の作成・承認

⑫ 清算結了登記(※決算報告書承認後2週間以内)

⑬清算確定申告(残余財産確定日から1か月以内)

⑭清算結了届

それでは、それぞれの手続きの詳細を見ていきましょう。

①解散の準備

会社を廃業するためには、まず解散に向けた準備をしていく必要があります。例えば、従業員や取引先について廃業を話していく必要があります。従業員を廃業に伴って解雇する場合には、最低30日以前に通知をする必要があります。解散日を決めたのちに、各関係者に対して「廃業のお知らせ」などの書面で解散をする旨の通知を送りましょう。

②株主総会での解散の決議

続いて、株主総会における解散の決議を行う必要があります。なお、株主全員の書面決議によって代替えすることも可能です。株主総会で決議しなければならない事項としては、

・会社の解散

・清算事務を行う清算人の選任

です。

清算人の選任に関する決議については、定款に別段の定めがない限り、議決権の過半数を有する株主の出席と、出席した株主の議決権の過半数の賛成をもって可決となる「普通決議」

で可能です。一方、会社の解散の決議については、議決権の過半数を有する株主が出席したうえで、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要な「特別決議」によって行う必要があります。

なお、清算人の人数は通常1人で問題なく、社長自身が清算人になることが多いですが、定款で清算人会の設置を定めている場合には3人以上置く必要があります。

③解散・清算人選任登記

株主総会の開催日を会社の解散日とすることが一般的ですが、この日から2週間以内に管轄の法務局で解散の登記、および清算人の選任の登記を行います。

④解散の届け出

株主総会で会社の解散を決議したあとは、遅滞なく、管轄税務署、都道府県税事務所、市町村役場へ届出書(「異動届」などとされています。)を提出しなければなりません。これらの届出書には、原則として解散登記後の謄本の添付が必要になります。

解散登記の完了後に、税務関係の部署に対する届出をする必要があります。法人税については管轄の税務署に、法人住民税や法人事業税については都道府県税事務所や市区町村役場に対してそれぞれ解散の届け出を出します。解散の届け出の際には、解散の登記をした登記簿謄本を添付して行います。

また、許認可を受けている場合には、許可を受けている官庁である国や都道府県などに対して廃業の届け出を行います。

⑤社保関係の届け出

会社の廃業に伴って、従業員を解雇する場合には、社会保険や雇用保険の停止の手続きを行います。会社を解散しても従業員が残っている間は社会保険への加入が必要になりますが、従業員が1人もいなくなった時点で「適用事業所全喪届」を年金事務所に提出します。

⑥解散の公告

会社に借入金や債務が残っている場合、これらの債権者保護のために解散の公告が必要となります。これらの会社の債権者からの申し出をうける機会を提供するために、会社解散後すみやかに官報に解散公告を掲載しなければなりません。解散公告では、2か月以上の期間を債権者の申し出期間として指定し、債権者に債権を申し出るよう通知します。

⑦解散時の決算書類の作成

会社の廃業の際には、解散時と清算結了時の2回にわたって決算書類を作成する必要があります。

解散時には、財産目録及び貸借対照表について、株主総会で普通決議による承認を受けなければなりません。なお、貸借対照表で純資産額がマイナスの債務超過の状態では、自主的な廃業はできず、破産または特別清算の手続きを行う必要があります。

⑧解散確定申告

解散日から2か月以内に、解散事業年度の確定申告を行います。なお、解散日以降も、会社の廃業の手続きが全て完了するまでは、毎年確定申告が必要なため注意しましょう。

⑨債務の弁済及び債権の取り立て

清算人は、売掛金などの会社の債権を回収し、債権者に対しては会社の債務を弁済します。会社が設備や在庫などの資産を有する場合は売却して換金し、債務の弁済に充てます。

なお、債権申出の公告の期間が終了するまでは、原則債務の弁済をすることはできません。一部の債権者に対して債務を優先的に弁済してしまうと他の債権者が弁済を受けることができなくなる可能性があるためであり、すべての債権者を平等に扱う必要があります。

⑩残余財産の確定と分配

会社の財産を整理したうえで、残余財産を確定します。残余財産は株主に対して分配され、清算が結了となります。

⑪決算報告書の作成・承認

清算結了時においても、もう一度確定申告が必要となるため、決算報告書を作成したうえで株主総会による承認を受けます。

⑫ 清算結了登記

株主総会で、決算報告書の承認を得た日から2週間以内に法務局に対して清算結了の登記を申請します。申請時には、株主総会の議事録や決算報告書を添付します。

⑬ 清算確定申告

残余財産の確定日から1か月以内に事業年度の確定申告を税務署に対して行います。

⑭清算結了届

税務署及び自治体に清算結了を届け出ます。

個人事業主の廃業手続きは?

個人事業主の場合、株式会社の廃業と比較すると手続きは簡易ですが、手続きの流れをご紹介します。

税務署への届け出

税務署には以下の書類を届け出る必要があります。

個人事業の開業・廃業等届出書

事業の廃止の事実があった日から1か月以内に提出する必要があります。事業の廃止の事実とは、明確な定義があるわけではありませんが、例えば店舗等を運営している場合は閉店日等でよいでしょう。

消費税の事業廃止届出書

前々年の売上が1,000万円を超えている場合は、消費税課税事業者となっていると思いますが、この場合、消費税の事業廃止届出書を事業の廃止から速やかに提出する必要があります。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

従業員や事業専従者に対して給与を支払っている場合には、事業の廃止の事実があった日から1か月以内に給与支払事務所等の廃止届出書を提出します。

所得税の青色申告の取りやめ届出書

青色申告者である場合に、青色申告を取りやめようとする年の翌年3月15日までに提出をする必要があります。

都道府県税事務所・市町村役場への届け出

都道府県税事務所や市町村役場にも廃業届を提出する必要があります。自治体によって必要な様式や提出期限も異なっているため、注意が必要です。例えば、東京都であれば「事業の廃止の日から10日以内」、大阪府であれば、「事実の発生した日から遅滞なく」というのが提出期限となっています。

廃業手続きにかかる費用は?

廃業の手続きを紹介させていただきましたが、これらの過程では様々な費用が発生します。ここでは、具体的な廃業手続きの費用の目安をご紹介いたします。

法人の廃業手続きにかかる費用

法人の解散においては、解散登記に30,000円、清算人登記に9,000円、清算決了登記に2,000円の登録免許税がそれぞれかかります。また、こうした登記費用以外にも、官報公告の費用として33,000円などがかかり、事業用の店舗や事務所がある場合にはその原状回復費用などもかかります。

これらの手続きを司法書士や税理士などに依頼して場合には、専門家の報酬も発生しますので、注意が必要です。

個人事業の廃業手続きにかかる費用

個人事業は法人とは異なり、官報での公告や登記は必要なく、これらの費用は不要です。

しかしながら、専門家報酬や原状回復費などは同様に発生しますので、こちらについても事前に確認するようにしましょう。

業界毎の廃業の手続き

こうした共通の廃業手続きに加え、許認可の必要な業種を営んでいた場合、業界ごとに別途手続きが必要となる場合があり、それらの手続きについて紹介いたします。

例えば廃業の際に手続きを行う必要がある業界としては、次のようなものが挙げられます。

建設業

行政庁に建設業許可の廃業届を廃業の決定日から30日以内に提出。

旅館業

保健所に旅館業廃止届を廃業から10日以内に提出。

宅地建物取引業

県土整備事務所に廃業届と宅地建物取引業者免許証を廃業から30日以内に提出。

飲食業

保健所に廃業届と飲食店営業許可書を10日以内に提出。

営業内容によっては警察署に廃止届出書や風俗営業許可証、返納理由書を10日以内に提出。

あん摩マッサージ指圧・鍼・灸院、接骨院・整骨院

保健所に施術所廃止届出書を廃業から10日以内に提出。

事業承継で廃業を選ぶことのデメリット

廃業をすると、多くの取引先や顧客との関係がなくなったり、従業員を解雇しないといけなくなったりしてしまうため、会社として培ってきた独自のノウハウやブランドなどがなくなってしまいます。これまで苦楽を共にした従業員も次の就職先を探さないといけなくもなるため、廃業に関する手続き以外にも配慮しないといけないポイントも多くなるでしょう。

廃業した場合に残る財産についても、残余の財産については株主に分配されるものの、M&A等の他の事業承継の方法と比較すると利潤が少なくなるケースが多いです。

なぜなら、清算・廃業においては、事業停止を前提としているため残余財産については、「換金価値(=処分価格)」しか値がつかないためです。「換金価値」は帳簿上の資産の価値とは乖離している場合も多く、売却しようとした資産が思うように売れないケースもありますし、売れたとしても想定より低い金額となったために借入金などの債務の返済ができない、という場合もありえます。

一方でM&Aの場合は、事業継続を前提としているため将来の収益を見越した「のれん代」が評価額に加味された買取価格となる場合が多いです。したがってより多くの創業者利得が得られるでしょう。

また課税方法の違いについても、清算・廃業時には法人税と所得税の二つの課税が課せられるのに対し、M&Aで株式譲渡をした場合は、株式の譲渡益に対して20.315%(所得税+住民税+復興特別所得税)の課税のみであり、節税にもつながります。

事業承継では廃業よりもM&Aを検討してみましょう。

このように、事業承継においては、廃業を選択する前にM&A等の別の選択手段を選択してみる方がよいでしょう。

そうはいってもM&Aってどう進めたらよいかわからない、という方は多くいらっしゃると思います。そんな時に頼りになるのがM&Aの仲介事業者です。

M&Aの仲介事業者の中には、中小規模の企業のM&Aに精通しており、買手側、売り手側とも豊富なネットワークを有しているケースが多くあります。こうした事業者に対してM&Aの仲介を相談できれば、自分ではわからない部分が明確になったり、新しい事業の譲渡先を探してもらえたりするため、非常に心強い味方となるでしょう。

M&Aを検討してみたい、という方はぜひ一度お気軽にご相談ください。

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