固定合意とは何か
固定合意は、遺留分の特例のひとつで、承継した自社株の評価額を、相続人全員が合意した時点の水準で固定する取り決めです。これにより、その後に株価が上がっても、上昇分は遺留分の計算に影響しにくくなります。
整備工場や中古車販売業でも、後継者の努力で会社が成長すれば株の価値は上がります。固定合意は、その成長分が相続の局面で後継者の負担を増やさないようにする発想の取り決めです。
なお、評価の方法や要件、扱いは制度改正や個別事情で変わります。金額や評価額は断定せず、考え方を中心に説明します。
なぜ株価の上昇が問題になるのか
後継者が経営努力で会社を成長させると、自社株の評価額も上がります。相続の際にその高くなった評価で遺留分が計算されると、後継者が他の相続人に対して負う負担が増えてしまうことがあります。
つまり、後継者が頑張るほど相続の場面で不利になるという、皮肉な状況が起こり得ます。固定合意は、この矛盾を和らげ、後継者が安心して経営に打ち込めるようにする狙いを持ちます。
固定合意が向いている場面
固定合意は、次のような状況で特に意味を持ちます。
- 後継者の努力で株価の上昇が見込まれる
- 承継後に会社を大きく成長させたい
- 後継者の頑張りが相続で不利にならないようにしたい
- 相続人の理解を得られる見込みがある
将来の成長を前提とするからこそ、固定合意は生きてきます。逆に、株価が大きく動かない見込みなら、除外合意など他の手立てのほうが適する場合もあります。
除外合意との違い
遺留分の特例には、固定合意のほかに除外合意があります。両者は狙いが異なるため、目的に応じた使い分けが大切です。
評価を固定するのか、対象から外すのか
固定合意は、株の評価額を合意時点で固定し、将来の上昇分に備えます。一方、除外合意は、株そのものを遺留分の計算対象から外します。将来の成長に備えたいのか、株の分散そのものを防ぎたいのかで選び方が変わり、両方を組み合わせる考え方もあります。
評価額をめぐる注意
固定合意では、どの時点のどのような評価額で固定するかが要になります。評価の方法にはいくつかの考え方があり、合意の前提として適切な評価を得ておくことが重要です。
評価が適切でないと、後に他の相続人との間で不公平感が生じかねません。所定の手続きに沿って、専門的な裏付けのある評価を用いることが求められます。評価額は個別性が高く、専門家の関与が前提となります。
合意を形成する流れ
固定合意も相続人全員の合意を土台とするため、丁寧な進め方が求められます。
- 後継者と対象となる自社株を確定する
- 適切な評価額を専門家の関与のもとで定める
- 推定相続人の理解を得て合意を形成する
- 所定の手続き(合意の確認など)を行う
評価という専門的な作業と、家族の合意という人間関係の両方が絡みます。どちらも時間がかかるため、早めに着手しておくことが円滑な承継につながります。
注意しておきたいこと
固定合意は、相続人全員の合意や所定の手続き、適切な評価が前提です。評価が下がる局面では、かえって不利に働く可能性もあり、常に有利とは限りません。
要件や評価の扱いは制度改正や個別事情で変わり得るため、断定はできません。除外合意との使い分けを含め、自社に合う選択は専門家に相談しながら見極めることをおすすめします。
よくある質問
「株価が下がったらどうなるのか」という質問があります。固定は上昇局面で意味を持つ一方、下落局面では見え方が変わります。将来の見通しを踏まえて選ぶことが大切です。
「評価は誰が決めるのか」という点については、専門的な裏付けが求められます。恣意的な評価では合意の土台が揺らぐため、専門家の関与が欠かせません。
専門家と進める意味
固定合意は、株価評価という専門性の高い作業と、家族の合意形成の両方を要します。税理士や弁護士と連携することで、適切な評価と納得のいく合意を両立しやすくなります。
私たちは自動車アフター業界に特化し、相談無料・秘密厳守・全国対応で、専門家とも連携しながら、承継と家族の両面から整理をお手伝いします。評価や適用可否は必ず専門家に確認してください。
まとめ
固定合意は、自社株の評価額を合意時点で固定し、後継者の努力による株価上昇が相続で不利に働かないようにする取り決めです。除外合意との違いを理解し、将来の成長を見据えて選ぶことが大切です。
一方で、相続人全員の合意と適切な評価が前提であり、常に有利とは限りません。要件や評価の扱いは変わり得るため、専門家と一緒に自社に合う選択を見極めることをおすすめします。迷う点はご相談ください。